インクルーシブリーダーシップ

多様性が尊重され活かされるチームや組織をつくっていくためには、制度・風土・意識など様々な要素が関係しあっています。制度面で特定の属性や事情がある人の参画を妨げていないかを見直すことも大切ですが、ここでは一人ひとりのエンゲージメントに大きく影響を与えている現場のチームの風土や人間関係とそこに働くリーダーシップに焦点を当てていきます。

インクルーシブリーダーシップとは、多様性が尊重され一人ひとりが力を存分に発揮し、その相互作用によってチームとして最大限の成果を出すことをサポートするリーダーシップの発揮です。

そのためには、チームの中で有利な立場/優位な立場にある人が(男女では男性、雇用形態では正社員、年齢が上、職歴が長い、新卒/キャリア採用では新卒採用、より高い役職、異性愛者であること、健常者など)、その有利さに気がつきながら、他者を積極的にそして意図的に巻き込んでいく必要があります。

インクルーシブであるとは、つまり包摂的であると訳すことができますが、マジョリティ中心の文化や慣行に同化されられることなく、自分の個性や強みを発揮することが推奨された上で、ビジョンや目的をチームのい一員として共有することが、個々人のインクルードされたという感覚を高めることができます。そのためには意思決定への巻き込みを含め、日常の会議やコミュニケーションの場で意見を聞く、吸い上げる場を設けることが大切です。

インクルーシブリーダーシップの発揮のためには、ミッション、ビジョン、バリューを中心として、立場や属性に関わらず、自分の思い込みや決めつけを保留してメンバーの意見に耳を傾けるオープンさと、居心地が悪いことを言われたたり、間違いを指摘された時にもそれを受け止める素直さと謙虚さが求められます。

 

LGBTといわれる性の多様性について

2015年にアメリカで同性婚が合法化され、日本では同年渋谷区で同性パートナーシップ条例が成立したのをきっかけに、日本の社会のなかで少しずつ「LGBT」という言葉を耳にするようになりました。Lとはレズビアン(女性の同性愛者)、Gはゲイ(男性の同性愛者)、Bはバイセクシュアル(両性愛者)、そしてTはトランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別に違和感がある人)のことを指します。

しかし、実際のところ、性の多様性はL・G・B・Tだけで表しきれるほど単純なものではありません。最近では、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の英語の頭文字をとって、SOGI(ソジ)という表現も広がり始めました。

 

「性的指向」とは一体、自分が誰に惹かれるのかということで、「性自認」とは自身の性別アイデンティティーのことです。

 

グラデーションの研修では、「性的指向」と「性自認」のことを含め、丁寧に解説をしていきます。

 

社会的に構築されるジェンダー

こちらの動画、「社会的に構築されるジェンダー」について考えるにおいて、大変興味深いので紹介させていただきます。

男の子の赤ちゃんと女の子の赤ちゃんの服を着せ替えて、男の子の赤ちゃんにピンクの服を、そして女の子の赤ちゃんに一般的に言う男の子っぽい服を着せて、それを知らないベビーシッターたちがどのように遊び相手をするのかを見る社会実験の動画です。

そうすると、男の子の服を来た赤ちゃんには、車やロボットで遊び、女の子の服を来た赤ちゃんとはぬいぐるみで遊ばせ始めるのです。

赤ちゃんの性別を明かされたあと、ベビーシッターたちは、自分自身のステレオタイプを否めないとコメントしています。

 

これは、女の子はピンク、ぬいぐるみが好き、男の子といえば水色、ズボンで車やロボットが好きという社会的な影響によって構築されたものであるのをよく示している動画です。

 

私達はまずこの社会的に気づかれている自身のステレオタイプやバイアスに自覚的になる必要があるのです。